認知症の中核症状とBPSD

 

1.中核症状ー脳の神経細胞が壊れることによって、直接起こる症状。誰にでも現れる。

 

記憶障害

年齢を重ねると、誰にでも物忘れが起こります。しかし認知症の場合、古い記憶よりも新しい記憶の方が思い出せない場合が多く、経験したこと自体を忘れてしまいます。また、時間がたっても、ヒントを与えられても思い出せません。

 

見当障害・見当識障害

「時間」、「場所」、「人物」が分からなくなる症状です。今日の日付が出てこなかったり、通いなれた場所へ行けなくなったり、知っているはずの人を見ても誰か思い出せなくなります。

 

実行機能障害

計画を立てたり、手順を考えたりして行動することができなくなります。例えばご飯を作るときに、「メニューを考えること」、「必要なものを買いそろえること」、「お店で商品を比べて、臨機応変に買い物をすること」、「手順を考えながら調理をすること」という一連の行動が難しくなります。

 

理解、判断力の障害

認知症では記憶だけではなく、物を考えることも困難になります。具体的には

・素早く考えられない

1度に処理できる情報量が減るため、同時に2つのことができなくなる

・いつもと違う出来事(葬式など)で混乱し、不可解な行動をとる

・「必要なものだけを必要なだけ購入する」などの的確な状況判断ができない

・目に見えないメカニズムが理解できなくなるため、自動販売機などの機械が使えなくなる

 

失行

運動機能と関係なく、目的の行動の方法がわからないためにできなくなることです。例えば着方を忘れて洋服が着替えられなくなったり、お箸の使い方がわからなくなったり、使い慣れた家電や調理器具を見ても何のためのものかわからなくなったりと、それまでできていたことができなくなります。

 

失語

「聞く・話す・読む・書く」ができない状態です。他人の話すことは理解できても、自分の言いたいことをうまく話せない「運動失語」や、相手の話が理解できない「感覚失語」、物の名前などが思い出せない「呼称障害」などがみられます。

 

失認

目、耳、鼻、舌、皮膚などの体の器官に問題はないのに、知覚したものを正しく把握することができない状態です。人の顔や遠近感がわからなくなったり、知っている音を聞いても何の音かわからなくなったりします。

 

 

 

 

 

2.行動・心理症状BPSD―中核症状から起きる周辺症状の事。周囲の人との関わりのなかで起きてくる症状の事。人それぞれ現れるものが違う。

暴言や暴力、興奮、抑うつ、不眠、昼夜逆転、幻覚、妄想、せん妄、徘徊、もの取られ妄想、弄便、失禁など